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地域訓練会「港北ひまわり会」が育む、親子の安心とつながりの輪【前編】

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地域訓練会ってどんなところ?

「地域訓練会」は幼児から高校生までの発達に心配のある子ども達とその家族が、協力者(ボランティア)の支援を得ながら活動している場所です。横浜市内にはいくつもの地域訓練会があり、会の運営は家族によって自主的に行われています。
活動内容は保育・体操・習字・水泳など、子どもの育ちに応じて、また会によって様々です。子どもにとっては協力者や仲間と関わりながら、生活習慣や社会性を身につける場であり、家族にとっては子育てに関する情報交換や悩みを相談できる場、親子で仲間づくりができる場となっています。

前回ご紹介した地域訓練会「ほっぺ」に続き、第3回となる今回は、横浜市港北区で活動する地域訓練会「港北ひまわり会」をクローズアップ。
港北ひまわり会 会長のAさんに、活動内容や会の魅力について語っていただきました。

50余年の歴史と思いが詰まった地域訓練会

地域訓練会「港北ひまわり会」が育む、親子の安心とつながりの輪【前編】
2023年に創立50周年を迎えた、港北ひまわり会

― 港北ひまわり会は歴史ある会だと伺っています。現在に至るまでの道のりを教えてください。

港北ひまわり会は1973年12月に発足し、3年前に50周年を迎えました。設立時の初代会長の話によると、きっかけは、障害のある子どもの訓練のために週1回、磯子区まで通っているという保護者から「遠くて大変だから港北区にもそうした場を作りませんか。」と声をかけられたこと。
初めはよく分からなかったものの、話を聞くうちに、障害のある子どものために港北区にも必要なものだと思い、準備会を立ち上げたのだと言います。

しかし当時は活動場所の確保が難しく、小学校の教室や会社の社員寮食堂、保健所の空き室などを転々とする苦労が続きました。
1980年代に入ると、地域で暮らす障害児者やその家族の地域生活の拠点となる「障害者地域活動ホーム」が誕生。港北区に「活動ホームともだちの丘」を設立するにあたり、港北ひまわり会がそれに携わったことで、ともだちの丘に活動の拠点を置くことができました。
歴史を振り返ると、現在に至るまでは決して簡単な道のりではなく、こうして活動できるのは諸先輩方のご苦労と努力のおかげだと思うと感謝せずにはいられません。

― 港北区になくてはならない地域訓練会となった現在、港北ひまわり会ではどのような活動をしていますか?

当会は「保育部」「就学部」「学校部」「青年部」の4部で構成されています。保育部は主に2歳頃から幼稚園などに入園するまでのお子さん、就学部は小学校就学前のお子さん、学校部は小学生、青年部は中高生が所属しています。2026年1月時点では、保育部8名、就学部7名、学校部10名、青年部14名の合計39名が在籍しています。

地域訓練会「港北ひまわり会」が育む、親子の安心とつながりの輪【前編】
体操教室の始まり。まずはみんなで準備体操!

活動内容は「保育」「水泳教室」「体操教室」「書道教室」といった定期的な活動に加え、日帰りのおでかけなどのレクリエーションも行っています。
各教室はボランティアとして協力してくださる専門の先生やコーチが担当。障害への理解が深い方ばかりなので、子ども達が上手くできないときも温かく受け止め、一人ひとりのペースに寄り添いながら成長を見守っていただいています。そのため、子ども達は気張らず無理せず、でもちょっと頑張ってみようと思える雰囲気のなかで、自然と自信が育まれているように思います。

また保護者同士の学びや交流を目的に、勉強会や茶話会も行っています。茶話会ではやってみたい活動のアイデアや日々の悩み事を気軽に話し合うことができ、勉強会では先輩お母さん・お父さんに子どもの進学などの経験談を教えてもらうこともできます。
先輩のお話を聞くことで「悩んでいるのは自分だけじゃない」「これで大丈夫」と安心感や自信が生まれ、親自身も子どもと一緒に成長できる機会になっています。そして先輩にしてもらったことを、今度は自分が次の誰かに返していく――そうした想いが受け継がれています。

一番の魅力は長くて深い、人とのつながり

― 50年以上も続く会には独自の魅力があると思います。港北ひまわり会ならではの魅力を教えてください。

誰もが口を揃えて言うのは「人とのつながり」です。同年代のつながりはもちろん、4つの部があり幅広い年代が集えるからこそ、先輩お母さん・お父さんとも密につながれるところが一番の魅力です。

今はインターネットで簡単に情報を得られる時代ですが、この会はむしろ人対人の人間臭さこそが魅力。保護者同士が顔を合わせ、実体験から生まれる言葉や思いを受け取ると、画面に向かって一人で検索していては見つからない情報にたどり着けると思います。

もう一つは、親も子も安心して活動できるところでしょうか。
ある保護者の方は「入会前は子どもと公園に行くと、周りに迷惑をかけてはいけないと思い、謝ってばかりでした。入会後、この会なら羽を伸ばして子どもが遊んでもとがめられず、みんな理解してくれて、おおらかに見守ってくれる。やっとすみませんと言わずにすむ間柄ができました」と話してくれました。

― そのつながりは卒会後も続いていますか?

当会は18歳で卒会となりますが、卒会後もつながりを大切にしたいとの想いから、50周年を機に、現役会員と卒会した方々が一緒に参加できる体操教室を年3回開催しています。ご案内を出すと、卒会直後の方から卒会後10年以上経つ30代半ばの方まで、幅広い世代から年間延べ30名ほどの参加があります。会への楽しい思い出が、再び足を運ぶ理由になっているのだと思います。
また、現役保護者にとっても卒会した先輩方と交流できる場となっているので、こうした機会を増やしていきたいと考えています。

― 会を支えるボランティアの方々は、どのような活動をされていますか?

ボランティアとして活動してくださっているのは、先ほど紹介した水泳・体操・書道教室の先生やコーチに加え、保育部のプログラムを担当してくださる方々です。私自身、娘が2歳の頃に保育部へ入会してから10年以上が経ちますが、ボランティアのみなさんの多くは私よりも前から会に関わってくださっています。長い間変わらず支え続けていただいており、本当にありがたいです。

今日を前向きに生きようと思える「居場所」になれたら

― 港北ひまわり会の活動で大切にしていることは何ですか?

地域訓練会「港北ひまわり会」が育む、親子の安心とつながりの輪【前編】
年齢ごとの部を越えて、会員の交流を深める「全体交流ウォーキング」

親子にとっての「もう一つの居場所」であり続けることです。
たとえば趣味などを通じて、みなさん上手に自分の居場所を作り、気持ちをプラスの方向に向ける工夫をしていると思います。この会がそうした居場所の一つになれたらという思いでいます。

― より多くの方に会について知っていただきたいところですが、どのように発信していますか?

これまでは区の福祉保健センターの保健師さんからのご紹介で、会の存在を知っていただくことが多かったと思います。現在はそれに加え、より多くの方に活動を知ってもらうために、先々代の会長が立ち上げたInstagramが重要な発信ツールになっています。
Instagramに届いたダイレクトメッセージから入会に至ることもありますし、卒会した保護者の方からも投稿を楽しみにしているという声をいただいています。そうした声や「いいね」の反応が励みになるとともに、多くの方に支えられ、見守られている実感がわき、感謝の気持ちでいっぱいになります。

命を輝かせて生きる子ども達を地域の光に

― 最後に、今後の活動の展望を聞かせてください。

現在、会員数の減少や、入会しても仕事や子育てが忙しくて運営に携わるのが難しい方が増えており、会の運営を長く続けていく方法を模索しているところです。どのような方も無理なく参加し続けられるしくみを作りながら、次の世代にバトンを渡していきたい気持ちでいます。

そしてこの会の魅力である長年かけて培われた人とのつながり、強い絆を大切にしていきたいですね。卒会しても同じ地域に住んでいる者同士、街で会ったら「こんにちは、久しぶり」と声をかけ合える関係性が続き、ずっと一緒にいられる、いつでも帰ってこられる「居場所」であり続けたいと思っています。

地域訓練会「港北ひまわり会」が育む、親子の安心とつながりの輪【前編】
トランポリンで元気いっぱいのジャンプ!レクリエーション外出の1コマ

あとはレクリエーション活動で外出する機会がありますが、私はそれ自体が障害への理解促進や啓発につながると思います。私達が地域にでかけていくことで、子ども達の存在や、障害があっても楽しく元気に日々を過ごしていることを知ってもらえる機会になっているのではないでしょうか。
社会福祉の父と呼ばれる糸賀一雄さんが残した「この子らを世の光に」という言葉のように、子ども達が地域にでかけていくことで、周囲の人々に大切な気づきや希望をもたらす光になってほしい。そんな想いを込めて、これからも積極的に外に出て、元気な子ども達の姿を見てもらいたいと思っています。

次回は、港北ひまわり会で活動する中学生の保護者3名のみなさんにお話を伺います。
これまでの様々なエピソードを振り返りながら、親子の成長や、地域に広がるつながりの輪についてお聞きします。

【紹 介】
地域訓練会 港北ひまわり会

<主な活動拠点>
港北区障害者地域活動ホーム ともだちの丘
横浜ラポールなど

<活動日>
保育:火曜
教室活動:主に土・日曜

<年齢層>
未就学児~高校生